風の馬〜天使の贈り物〜

写真:颯馬 写真:颯馬 写真:颯馬

 

 天使記念日 (written in 2006.6.24 )

 
颯ちゃん、今年もまた天使記念日がすぎていったよ。
キリスト教では命日ではなく、昇天記念日というけれど、
もっと颯ちゃんに似合う言葉がほしくて、ママが作った言葉。

毎年カサブランカの花を飾り、教会で記念式をやってもらう。
99年の天使記念日は、聞けないままだった解剖結果を聞きに
病院へ行ったり、やっぱりこの日は何年経ってもなによりも大切で特別な日。


ママは颯ちゃんが天使になった頃がんばりすぎちゃって、
その反動で毎年春になると心がきしんでしまう。
でもこの天使記念日がすぎれば元気になるって暗示をかけて、
かろうじて「ただ」生きてきた。
いつも白い霧の中にいるような気がして、
どこかにきっとある光のドアを探してもがいてる。

そんなママを颯ちゃんはどう見てるんだろう・・・


 

 
以前この「颯ちゃんへ」にママはこう書いてた。


この1ヶ月、2年前を思いだしてばかりでやっぱりつらかった。
今日は初めて母乳を飲んだ日、今日は初めて沐浴した日、
退院した日、夜泣きした日、緊急入院になった日、手術した日、
そして天使になった日・・・

今までなぜ笑っていられたの?今はどうして笑えないの?
ふだんは思いださないようにしていた。写真も避けていた。心を閉ざしていた。
でもまた誕生日が訪れ、思い出があふれ、そのたびに涙が止まらなくて、
だから笑うことが苦しくなってしまった。写真も手帳も見ることができなくなった。
ごめんね、颯ちゃん。
いっぱいいろんな話をしてあげたかったのに、どうしてもできなかったよ。
みんなには、いっぱい泣いて思いだしていっぱい話してあげよう、って言うくせに。


99年に書いたこの思いは今もあまり変わらない。
きっとこれからもずっと「今日は○○した日」と思いだして泣くんだね。

でも颯ちゃんのために一緒に祈ってくれる人達がいて、
颯ちゃんのために一緒に讃美歌を歌ってくれる人達がいて、
ママはとても幸せだからこれからもがんばれる。
だから心配しないでね。


 

ママはこれからも颯ちゃんの誕生日にはケーキ買ってお祝いするよ。
「そうちゃん おたんじょうびおめでとう」
チョコのプレートに書いてもらって。
そして天使記念日はいっぱいいっぱい颯ちゃんを思いだすよ。
そこに颯ちゃんは いないけれど、
神様が颯ちゃんに会わせてくれたことを感謝し、
颯ちゃんが生まれてきた意味を一生懸命考えていくね。


覚えてるかな?
入院してる颯ちゃんにママとパパの友達が会いに来てくれたこと。
前夜式や告別式にあんなにたくさんの友達が来てくれたこと。
風の馬を通して、たくさんの友達ができたこと。
ひとつひとつの風景は鮮やかで、決して色褪せることはない。
ママはみんなを支える船になりたいと書いたことがあったね。
いつかそんな大きなママになれるよう、颯ちゃんも応援してね。


ミルクの匂いがしたり、カサブランカの香りがしたり、
颯ちゃんは時々、ママに会いに来てくれる。
やさしいやさしい颯ちゃん。

忘れないよ 大好きだよ また会おうね
いつか きっと また会おうね