風の馬〜天使の贈り物〜

 涙ひとつぶ

 
颯馬が天使になり、わりとすぐの頃に言われた言葉があります。
「病気の子は大きくなっても大変だからこれで(死んで)良かった。」
心が真っ白になりました。
言いたいことはたくさんあるのに、なにも言えませんでした。
こうして誰かを亡くして悲しみの底にいる時に人に傷つけられることを「二次被害」と呼びます。
なにか言ってあげなきゃと思う善意の心でも、その言葉は刃になることもあります。
まして好奇心から出る言葉は、心の痛みをさらに傷つけます。
なにか言ってあげなきゃと思ったら、なにも言わずに一緒に泣いてあげてください。
なにも言わずにぎゅっと抱きしめてあげてください。

風の馬に寄せられた心の叫びです。




「私だったら気が狂ってしまうんではないか。」



「元気だして」



「しっかりして」



「お友達が死んだ人の話をしちゃいけないんだっていってたよ。」



「若いんだから(子供を)また作ればいいじゃない。」



「(子供が死んだら)普通なら痩せるよね。」



「ご家族に心臓病の方がいるの?
私の知り合いで心臓病の子がいるけど、大変みたいよぅー。
今度は健康で丈夫な子を産みなさい。」



「他にも子供いるからいいじゃない。」



「強いね。」